その他の日本産アツモリソウ属

 日本産のアツモリソウ属にはレブンアツモリソウ以外に、アツモリソウ、キバナアツモリソウ、チョウセンキバナアツモリソウ、クマガイソウ、カラフト(ドウトウ)アツモリソウなどがあります。私が学生の頃は札幌近郊にもアツモリソウが見られましたが、今は全く見られなくなりました。下の写真は1969年に私が定山渓天狗岳で撮ったものです。その当時は名前も知らず、「なんて美しいのだ」感激したことを覚えています。 園芸愛好家から「昔、札幌近郊から採って庭で栽培している」 (現在そのような事をしたらお縄になります)とするアツモリソウの種子を頂いて、無菌発芽させていますが、調子はイマイチです。

 

 キバナノアツモリソウも絶滅が危惧されています。園芸愛好家から北海道の神居古潭産のキバナの種子を頂き、無菌発芽させてみました。発芽は容易でしたが、そのあとの生育が芳しくなく、褐変して枯死してしまうものが多く見られました。数百のプロトコームができましたが、生き延びて大きくなったのは下の写真の8株のみです。3年後に一部が開花しました

 

 チョウセンキバナアツモリソウはユーラシア北部や北米に分布しており、日本では男鹿半島のごく一部に見られます。小型でかなりかわいらしい花を付けます。この種は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称「種の保存法」)で「国内希少野生動植物種」に指定されており、個人保有や譲渡(贈与・販売を含む)が禁止されています。一方レブンアツモリソウは「特定国内希少野生動植物種」であり、「特定」が付くため農水省と環境省に届け出を行えば販売もできます。レブンアツモリソウは古くから園芸的な取引の対象とされ、また増殖法も公開されています。一方チョウセンキバナアツモリソウは増殖法も知られていません。強い保護を行うために個人保有や譲渡が禁止されたのでしょう。この種の自生地はわずか300平方メートルほどだそうです。何故このような狭いところだけに分布するのか謎です。鳥の足に種子が付着して運ばれたのでしょうか?自生地が自然災害にあったら簡単に絶滅してしまいます。北海道大学付属植物園ではこの人工増殖にも取り組んでおり、私も参加しています。以外に簡単なようです。