レブンアツモリソウの共生発芽と無菌発芽

 共生発芽

 一定期間(2~3か月)低温(4℃程)に置いて休眠から目覚めさせた種子に共生菌を接種すると、接種後3か月ほどで種子は発芽を始め、プロトコームと呼ばれる小さな粒を作ります(写真上)。発芽率は最大で30%です。白い粒は発芽してできたプロトコームです。これが成長して根とシュートを出して幼植物になります。 白い線は菌糸、茶の粒は発芽に失敗した種子です。1~2か月毎に新しい培地に移し換えてやると、ゆっくりと成長し、2~3年後には鉢上げできるサイズになります(写真下)。培地のわずかな養分を菌が吸収し、それを種子が利用するため生長が遅く、手間がかかります。

 

 無菌発芽 

 種子を表面殺菌して無菌的に栄養豊富な培地に蒔くと、2か月ほどで発芽が始まります(下の写真上)。無菌発芽では未熟種子を用いることが多いのですが、完熟種子も、工夫次第で容易に発芽します。果実によって発芽率は大きく異なり、20%~80%でした。生じたプロトコームを1~2か月ごとに新しい培地に植え替えると順調に育ちますが、植え替えを怠ると、幼植物は褐色になり枯れてしまします。根から培地に何らかの代謝産物が放出されそれが成長を阻害しているようです。

 

 

 無菌発芽後に植え替えを繰り返すと、共生発芽よりかなり早く成長します。9月に種を蒔き、フラスコの中で上手く管理すると、翌々年の春(播種後19か月)には鉢上げが十分に可能な大きさにまで育ちます。